白内障とは
白内障とはカメラで言うと前側のレンズに当たる部分（水晶体）が濁る老化現象です。
人間であるかぎり、年を取ると必ず生じる変化です。
レンズが濁りますから白っぽく曇ったように見え、光がまぶしいなどの症状がでてきます。
早い方では40代後半から始まり、平均すれば60代後半から70代で見にくいなどの具体的な症状を自覚されることが多いです。
治療方法
視力を改善させる治療法は残念ながら手術しかありません。めぐすりでは、治すという治療にはなりません。
手術は濁った水晶体を超音波で砕き、代わりに人工のレンズを元の水晶体の部位に入れます。
超音波を使うことで手術の創が2〜3ミリまで小さくなり、患者さんへの負担が驚くほど少なくなりました。
麻酔も針で刺すようなことはせず、めぐすり麻酔で当院はやっています。
手術時間も眼を洗ったりドレープ（手術にかける布）をかけている時間を除けば、実際に僕が手術しているのは平均8〜15分くらいです。
平成初期までの超音波を使わない時代に比べ手術時間も手術創の大きさも1/3以下になりました。
手術時期について
手術時期はいつごろ？という質問をよく患者さんから受けます。
正直いいますとはっきりした基準はありません。
基本的には見え方に不自由を感じた時と言えます。その方の年齢、職業、生活スタイル、趣味などにより手術時期はかわってきます。
不自由さをほとんど感じないなら手術を受ける必要はありません。
ただ間違って欲しくないのは、水晶体の濁りがあまりに進行し完全に白濁するまで放置していたり、カチカチに固くなるまで（このタイプは茶色に濁る）放置するのは間違いです。
この時期になるとさすがに自覚もあり見え方は悪いです。
手術がむずかしく時間がかかり、それだけ手術がうまくいかない可能性が高くなります。
見えなくなるまで手術しないでよいという話は水晶体を摘出していた昔の時代のことで間違った考えです。
ドクターと相談し、個々の患者さんの不自由さを考え、それこそ適当な時期に手術を受けるのが正解です。
当院での白内障手術
当院では、次世代を担う機器としてVERION(Alcon社)を導入しています。
今までは白内障手術を通して遠視・近視の矯正しかできませんでしたが、乱視に着目する時代になっています。
できるだけ乱視を減らして裸眼視力を良くするためのものです。
もちろん全員に適応するものではありませんが必要であればVERIONで測定し乱視矯正を兼ねた眼内レンズを使用します。
またこの機器は手術で乱視を増やさないため切開する場所を推奨したり、水晶体の袋の理想的な切開部位を指示してくれるので、より丁寧な手術の手助けをしてくれます。白内障手術は質を問われる時代になってきました。
眼科医としては正確性を問われよりきびしい評価を受ける時代になってきていますが、次世代型であるデジタル白内障手術の流れに遅れることなく努力しています。